鼻腔粘膜、特に下鼻甲介粘膜が慢性的に肥厚している慢性鼻炎の一種で、鼻づまり、鼻汁、嗅覚低下などの症状を呈します。アレルギー性鼻炎による慢性刺激、市販の点鼻薬を長期連用することによりおこる「薬剤性鼻炎」、鼻中隔弯曲症により左右の鼻腔幅のバランスが崩れることによって、広い方の下鼻甲介が代償性に肥厚してしまうことなどが原因になります。
両側の下鼻甲介が大きく肥大している(白矢印)。
鼻鏡、電子スコープによる鼻腔の診察を行い診断します。特に手術を考慮するような重症例では、肥厚の程度や下鼻甲介骨の形態を正確に判断するためにCTが大変重要な検査になります。
内服薬や点鼻薬で治療を行います。対症療法の効果がなく鼻閉が強い重症例では、下鼻甲介手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術、下鼻甲介切除術など)を行います。症例によって術式を選択します。
1.下鼻甲介前端粘膜をメスで切開し、下鼻甲介骨を露出させます。
2.下鼻甲介骨と骨膜の間を後端まで剥がした後、骨を除去します。
3.粘膜肥厚が強い例では、余剰粘膜の切除を併せて行います。
4.左右鼻腔にスポンジ状の素材を留置し、下鼻甲介粘膜を圧迫します。スポンジは2日後に抜去します。
肥厚性鼻炎は、鼻中隔弯曲症やアレルギー性鼻炎を合併していることが多く、鼻中隔矯正術や後鼻神経切断術を同時に行うことがあります。手術時間は約1-2時間、日帰りで行います。
・粘膜下下鼻甲介骨切除術
下鼻甲介骨を根元まで摘出します。
場合により下鼻甲介粘膜の一部を切除します。
・下鼻甲介切除術
腫脹した下鼻甲介粘膜や下鼻甲介骨の一部を切除します。
手術により下鼻甲介の肥大が縮小し鼻腔通気が改善した。
手術当日から数日間、鼻の痛みや頭痛、鼻出血が起こることがあります。止血材抜去直後の鼻通りは良好ですが、しばらくすると鼻粘膜の腫脹や痂皮の付着により鼻閉が起こってきます。術後3週目以後徐々に鼻通りが改善してきます。完治まで約4-6週間程度かかります。