ご家族に、いびきをかいている、息が止まっていると言われたことはありませんか?しっかり寝たはずなのに起きられない、疲れが取れない、日中に強い眠けがある、などの症状はないでしょうか。睡眠中の無呼吸が、これらの原因になっている可能性があります。
無呼吸とは、睡眠中の呼吸間隔が10秒以上あくことと定義されます。この無呼吸が睡眠中に頻回に起こることが、日中の眠気、疲れが取れないなどの症状を起こします。高血圧、不整脈、心疾患、高脂血症、糖尿病、脳血管疾患などの生活習慣病との関係も指摘されています。睡眠時無呼吸を治療することにより、これらの症状が改善する可能性があります。
鼻や口から吸いこんだ空気は、喉頭を通過し肺まで流れ込みます。この空気の通り道を上気道と言います。上気道は粘膜や筋肉でできており、様々な原因で狭くなることがあります。上気道が狭くなると無呼吸を起こしやすくなり、空気が通る時の抵抗の増加で粘膜振動が生じ「いびき」になります。
・骨格:日本人は首が細く、あごが小さい人が多く気道が狭い傾向があります。
・肥満:顔や首周りについた脂肪が仰向けに寝る姿勢の時に垂れ下がり気道を圧迫します。
・扁桃肥大、アデノイド肥大、舌が大きい、下あごが小さい:上気道を物理的に狭くします。
・鼻づまり:鼻中隔弯曲症・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりが睡眠中の口呼吸を引き起こします。
・加齢:加齢による粘膜や筋肉のゆるみで組織のハリが低下するため、首周りの脂肪や舌などが気道に沈み込みやすくなります。
・飲酒:飲酒により筋肉がゆるみ、舌が気道に落ち込みやすくなります。
無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)
正常 :AHI<5
軽症 :5≦AHI<15
中等症:15≦AHI<30
重症 :30≦AHI
日中の眠気、いびき、起床時の頭痛、熟睡感がない、集中力の低下など
日常生活への悪影響:
無呼吸や低呼吸による繰り返す低酸素血症のために十分な睡眠がとれず、自動車事故、産業災害、仕事上のミスの増加、学業不振などの原因になると考えられています。
生活習慣病の発症、悪化:
睡眠時無呼吸による低酸素状態や夜間覚醒による交感神経の活性化、体に悪影響を及ぼす物質の過剰分泌などにより、高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈、狭心症、心筋梗塞や脳卒中を引き起こし悪化させると考えられています。
治療放置による寿命の短縮:
中等症以上の睡眠時無呼吸を放置することにより、生命予後が低下することが様々な研究により明らかになっています。
小児の睡眠時無呼吸は成人とやや異なり、扁桃肥大、アデノイド肥大やアレルギー性鼻炎などによる鼻閉が大きな原因となります。いびき、睡眠中の苦しそうな呼吸、眠気・多動などの行動問題、あるいは学習問題が主な症状になります。胸がへこむような呼吸(陥没呼吸)、食べるのが遅い、発育の遅れなどの症状も認めれます。小児の睡眠時無呼吸も積極的な治療が必要です。
内視鏡検査:鼻やのどに狭い所がないか調べます。
・鼻閉型:鼻中隔わん曲症(30代、女性) |
・咽頭狭窄型(50代、男性) |
・舌根狭窄型(40代、男性) |
簡易アプノモニター:睡眠中の呼吸状態を自宅で調べていただきます。結果を分析後、原因部位や重症度に応じて治療方法を検討します。
その他:必要に応じて、血液検査やCT検査などを行います。