甲状腺は、首の前下方にあるホルモンを分泌する臓器です。正常時は触ってもほとんどわかりません。甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発にしたり、交感神経を刺激したり、成長や発達を促進する働きをしています。
1.首がはれてきたことに自分で気が付いた。または
家族や知人にはれていることを指摘された。
2.検診で首のはれを指摘された。
3.甲状腺機能異常による症状(動悸、手指のふるえ、
暑がり、寒がり、イライラする、やせた、太った、むく
むなど)が出てきた。
4.目が飛び出てきた。
・触診
・超音波検査
・血液検査
・穿刺吸引細胞診
・CTなどの画像検査
甲状腺の病気には、「働き」の変化と「形」の変化という2つの特徴があります。
・「働き」の変化:甲状腺ホルモン分泌異常
1.甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に作られ、血中濃度が増えている状態を甲状腺機能亢進症と言います。バセドウ病が代表的な病気です。甲状腺ホルモンが多すぎると体の代謝が亢進し、甲状腺のはれ、頻脈、眼球突出、動悸、息切れ、発汗、やせ、手のふるえ、疲れやすい、生理不順、イライラ、暑がり、下痢などの症状が出ます。治療は、内服治療、ヨード治療、手術治療などになります。治療中の妊娠は可能ですが、内服を継続し、機能を正常に保つことが大切です。機能亢進が強いと流産率が上がります。
2.甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが作られる量が減り、血中濃度が低下している状態を甲状腺機能低下症と言います。橋本病が代表的な病気です。自己免疫の異常により、甲状腺組織が破壊され、甲状腺がはれる場合や委縮する場合があります。甲状腺ホルモンが不足すると、体の代謝が低下し、寒がり、皮膚乾燥、むくみ、体重増加、脱毛、便秘、無気力、月経異常、疲労感、傾眠などの症状が出ます。治療は甲状腺ホルモン剤の内服です。ヨード(昆布などの海草類)の摂りすぎに注意が必要です。
・「形」の変化:甲状腺腫
びまん性甲状腺腫と結節性甲状腺腫に分けられます。結節性甲状腺腫は女性に多く、良性と悪性にわけられます。良性腫瘍の代表的なものとして、腺腫様甲状腺腫や濾胞腺腫があります。
良性腫瘍の大部分は手術の必要がありません。腫瘍が大きくなった場合、悪性腫瘍を否定できない場合などには手術が必要です。
悪性腫瘍の90%は乳頭癌です。進行は非常に遅く、5年生存率は93.7%と性質がおとなしいのが特徴です。しかし、転移することもあり、きちんと診断、治療を受けることが重要です。