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滋賀県草津市平井の耳鼻咽喉科、小児耳鼻咽喉科、アレルギー科。せの耳鼻咽喉科です。

好酸球性副鼻腔炎の手術治療policy&FAQ

好酸球性副鼻腔炎
(Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis)

副鼻腔炎の中でも特にアレルギー体質が関与した病態の副鼻腔炎。多発性鼻茸と粘張な鼻汁によって、高度の鼻づまりと嗅覚障害を呈します。抗菌薬は無効でステロイドの内服にのみ反応します。手術をしても再発することが多い難治性に副鼻腔炎です。ステロイドの内服が最も有効な治療薬ですが、中止すると調子が悪くなります。喘息を合併することが多く、ほとんどが成人になってから発症します。
CTを撮影すると、篩骨洞中心の軟部組織陰影を呈することが特徴です。
好酸球性副鼻腔炎は、厚生労働省により指定難病の対象疾病とされています。

篩骨洞中心に軟部組織が充満(赤丸)。

嗅覚障害時の嗅裂、嗅粘膜の変化


赤丸がにおいを感じる嗅粘膜が存在する嗅裂付近。
右図は正常の嗅粘膜写真。


副鼻腔炎による嗅覚障害:嗅裂にポリープが存在し嗅裂が閉鎖している。


好酸球性副鼻腔炎による嗅覚障害:嗅裂付近の粘膜が肥厚し嗅裂が閉鎖している。

診断

鼻鏡、電子スコープによる鼻腔の診察を行い診断します。特に手術を考慮するような重症例では、副鼻腔炎の重症度を正確に判断するためにCTが大変重要な検査になります。
嗅覚障害を合併している場合、アリナミンテストなどの嗅覚検査を行います。

治療方法

ステロイドを中心とした内服薬や点鼻薬で治療を行います。薬物療法の効果がなく鼻閉や嗅覚障害が強い場合には手術を行います。好酸球性副鼻腔炎は、厚生労働省により指定難病の対象疾病とされており、手術を考慮する場合には、事前に申請することで治療費を軽減することができます。

目標とする治療のゴールは「経口ステロイド薬を使用しない状態で嗅覚障害がなく、鼻閉を感じない状態が継続し、安定している。」です。

手術方法

内視鏡下で副鼻腔手術を行います。
鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎を合併している場合には、鼻中隔弯曲症や下鼻甲介手術を同時に行います。手術時間は約2時間、日帰りで行います。
副鼻腔自然口を拡大し隔壁を除去することで、鼻副鼻腔の空気の流れを改善させ、副鼻腔粘膜の正常化を導きます。嗅覚障害が強い場合には、嗅裂を拡大する工夫を行います。

手術症例

術前後CT:副鼻腔の隔壁が取り除かれ空気の流れが改善されたことにより、術後副鼻腔の含気が著明に改善している。

術後経過

手術当日から数日間、鼻の痛みや頭痛、鼻出血が起こることがあります。特にメスで切開した側からの出血が多くなります。止血材抜去直後の鼻通りは良好ですが、しばらくすると鼻粘膜の腫脹や痂皮の付着により鼻閉が起こってきます。術後3週目以後徐々に鼻通りが改善してきます。術後処置に併せて内服治療も行うことが重要です。術後創部が完治するまで約8-12週間かかります。

術後治療

好酸球性副鼻腔炎は難治性疾患ですので、術創治癒後も治療の継続が必要です。
副鼻腔炎症状や局所所見が落ち着いている場合は経過観察にします。
副鼻腔炎症状や副鼻腔炎所見が続いている場合はステロイドを中心とする内服治療を継続します。
ステロイド内服治療が長期に継続する場合は分子標的治療薬(デュピクセント)による治療に移行します。


  せの耳鼻咽喉科
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